古典文法超入門講座の第1回目です。まずは「歴史的仮名遣い」の解説をしていきます。
古文の世界の五十音は、現代とはちょっとだけ異なっています。これを歴史的仮名遣いといいます。
歴史的仮名遣いは、平安中期までの仮名遣いだね。
歴史的仮名遣いと現代仮名遣いの五十音図
まず最初に、歴史的仮名遣いの五十音図を確認していきましょう。
ほとんどは現代語の五十音図と一緒ですが、赤字のところがポイントです。
現代仮名遣いの五十音図と比較してみましょう。
この現代仮名遣いの五十音図ですが、最近は次の「穴あき五十音図」の方が、目にする機会が多いかもしれません。
歴史的仮名遣いと現代仮名遣いの五十音図を比べてみると、ヤ行とワ行が違います。
まずはここをしっかりと覚えておきましょう!
- ア行
-
あいうえお
- ヤ行
-
やいゆえよ
- ワ行
-
わゐうゑを
ここで紹介した「穴あき五十音図」は、本来はオ段にくるべき「を」を無理やりウ段に移動させ、ワ行とは何の関係もない「ん」を最後に持ってくることで、なんとなく収まりよく見せています。
ですが、本来の行と段の意味を考えれば、一つ上の「穴あきではない五十音図」でイメージしたいところですよね。
(穴あき五十音図の問題点については、コチラの記事で詳しく解説されています。)
古文の五十音・歴史的仮名遣いの読み方
五十音図を確認できたところで、ここからは歴史的仮名遣いの読み方を学んでいきましょう。
まずは簡単なハ行から、読み方を解説します。
ハ行はワ行に変換して読むのが原則
は・ひ・ふ・へ・ほ → ワ・イ・ウ・エ・オ
具体例が無いといまいちピンとこないなぁ……
例えば超有名な古文単語の「あはれ」は、「あワれ」と読みます。ちにみに「あはれ」の意味は「しみじみとした趣」ですね。
このように、ハ行を見たらワ行に変換するようにしてください。
どんなハ行でもワ行で読めばいいのかな?
但し、例外があります。ハ行が語頭(単語の最初)にある場合はそのまま読んでOKです!
例えば、「はな(花)」はそのまま「ハな」と読めばいいわけです。
「ハ行→ワ行」は直感で分かるから簡単だよね。
例えば「いふ(言ふ)」だったら「言う」になることはすぐに分かるね!
ヤ行とワ行の読み方
最初の五十音図の解説で、ヤ行とワ行だけが現代語の五十音図と異なることを紹介しました。
そんな要注意ポイントであるヤ行とワ行について、読み方を丁寧に解説していきますね。
ヤ行
やゆよ → やいゆえよ
ワ行
わ を → わゐうゑを
これを覚えると、どういうメリットがあるの?
例えば「植ゑ」は何行の動詞でしょうか?
「ゑ」は「え」って読むから、「あいうえお」のア行かな?
確かに「ゑ」は「え」と発音しますが、「ゑ」は「わゐうゑお」の「ゑ」なので、「植ゑ」はワ行の動詞です。
五十音図をきちんと覚えていないとア行やヤ行と勘違いしてしまうので要注意です!
ダ行の読み方
ぢ → ジ / づ → ズ
これもだいたい直感的に分かりますよね。
例えば歴史的仮名遣いの「はぢ(恥)」は、現代語では「ハジ」となります。
「くわ・ぐわ」の読み方
くわ → カ / ぐわ → ガ
「くわ→カ」と「ぐわ→ガ」は、直感では少し分かりにくいので要注意です。
例えば歴史的仮名遣いの「くわじ」は、なんと読むでしょうか?
うーん、「食わじ」かな?
「くわ→カ」なので「くわじ」→「カジ(火事)」が正解です。
「あう/いう/えう/おう」の読み方
- あう → オー
- いう → ユー
- えう → ヨー
- おう → オー
これもだいたい直感的に読めてしまいますよね。
例えば「あうむ(鸚鵡)」は「オウム」、「いうなり(優なり)」は「ユウナリ」、「えう(要)」は「ヨウ」、「おうな(嫗)」は「オウナ」となります。
ちなみに、五十音図の横を「段」と言います。例えばア段とは「あかさたなはまやらわ」のことですね。
基本的にア段・イ段・エ段の仮名に「う」・「ふ」が付くときは、現代仮名遣いとは違ってくるんです。
例えば「て」は「te」なので「エ段」ですね。これに「ふ」がつくと「てふ」になります。「てふ」は「ちょう(蝶)」と読みます。
「てふてふ」で「チョウチョウ」と読むのは、習ったことがあると思います。
ここからは練習問題を解きながら、古文の歴史的仮名遣いに慣れていきましょう。
歴史的仮名遣いの読み方の練習問題
「+解答解説」ボタンを押すと、「答え」と「解説」を確認することができます。
練習問題次の語を現代仮名遣いに直すと?①にほひ
②ゑあはせ
③まゐる
④くわんげん
⑤やうやう末ざまになりて(「やうやう」を現代仮名遣いに直すと?)
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