古典文法入門【第2講】【第3講】【第4講】では、四段・上二段・下二段の動詞をそれぞれ解説してきました。
「四段・上二段・下二段」の3つの活用だけで、古文の全「動詞」の90%以上をカバーできます。
言い換えれば、「四段・上二段・下二段」は古文を読解する上でよく出会う動詞なので、何度も繰り返してしっかり覚えておきましょう!
この記事では、4つ目の動詞の”活用の種類”として、「上一段活用」をわかりやすく解説していきます!
記事の最後の「一問一答」で覚え方も完璧!
当記事をつかって、上一段活用を「理解・暗記」して頂ければと思います。
上一段活用とは?

上一段活用の名称の由来
活用を暗記しても、”活用の種類”はごっちゃになってしまうことがあります。
そのため、名称の由来を覚えることは大事です。
上一段という名称は、「a・i・u・e・o」の5段のうち、真ん中の「u」の段から見て”ひとつ上”の「i」の段だけで活用することに由来します。
上一段動詞の活用
上一段活用の骨格部分の活用は、「i・i・iる・iる・iれ・iよ」です。
たとえば上一段動詞の「着る」は、次のように活用します。
基本形 | 語幹 | 未然 | 連用 | 終止 | 連体 | 已然 | 命令 |
着る | 〇 | き | き | きる | きる | きれ | きよ |
– | – | i | i | iる | iる | iれ | iよ |
基本形 | 語幹 | 未然 | 連用 | 終止 | 連体 | 已然 | 命令 |
着る | 〇 | き | き | きる | きる | きれ | きよ |
– | – | i | i | iる | iる | iれ | iよ |
「i・i・iる・iる・iれ・iよ」と活用しているのが分かりますね!
上一段活用の見分け方&覚え方

上一段活用の動詞はごく少数しかないので、暗記で見分けます。
上一段動詞の覚え方は「ひ・い・き・に・み・ゐる」という語呂合わせを使うのが定番です。

一気に覚えようとするのではなく、「”ひ”で始まる上一段動詞は?」のように、7つに分割して暗記します。
この記事の最後の方に掲載している「一問一答」で暗記すればいいので、今はサラッと表を確認してください。
語呂 | 活用の行 | 上一段動詞 |
---|---|---|
ひ | ハ行 | 干る |
い | ヤ行 | 射る・鋳る |
き | カ行 | 着る |
に | ナ行 | 似る・煮る |
み | マ行 | 見る |
ゐる | ワ行 | 居る・率る |
ヤ行の「射る・鋳る」と、ワ行の「居る・率る」は”活用の行”にも要注意ですよ!
【例文】
ともに寄り居て(御伽物語)
【現代語訳】
一緒に寄り添って座って
【解説】
「居る」はワ行上一段活用の動詞で、意味は「座る」です。
「率る」も同じ「座る」という意味のワ行上一段ですよ。
活用は「ゐ・ゐ・ゐる・ゐる・ゐれ・ゐよ」で、一見すると「居」+「て」は、”未然形”か”連用形”かの判断に迷うかもしれませんね。
「助詞”て”の上は連用形になる」というルールがあるので、「居」は、ワ行上一段活用の連用形と考えます。
ちなみに「寄り」はラ行四段活用の連用形です。直後が「居」と動詞(=用言)なので、連用形なのは当然ですね。
この9個以外にも、何語か上一段動詞はありますが、まずは頻出の9語を暗記すれば大丈夫です。
ここからは「一問一答」を使って9個の上一段動詞を暗記していきましょう。
【一問一答11題】上一段動詞の基本語を暗記しよう!

一問一答集を何度も繰り返すことで、確実に文法事項を覚えることができます。
※それぞれの問題をタップ(クリック)すると、解答解説が表示されます。
我にひとしき人もあめりと思ふに、その琵琶法師、香箱のやさしきを取り出し、これよきものか見て給はれとて、我が方へ投げたり。(御伽物語)
まとめ:上一段活用のポイント
- 上一段活用は、「a・i・u・e・o」の「u」から見て”ひとつ上”の「i」だけで活用するので、「上一段」と呼ばれる。
- 上一段活用の見分け方は「暗記」。
- 上一段活用の覚え方は「ひいきにみゐる」。
- ヤ行上一段活用の動詞は「射る・鋳る」。
- ワ行上一段活用の動詞は「居る・率る」。
最後に図解で、上一段動詞の基本語を確認しておきましょう!

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