この記事では、縄文時代の交易をテーマとして、黒曜石・ひすい・サヌカイトを丁寧に分かりやすく解説します。
記事の最後には、覚えやすいよう一問一答を付けているので、ぜひ参考にしてください。
縄文時代の交易
縄文時代には想像以上に広範囲で交易が行われていました。お金の概念はまだないので、全て物々交換です。
広い範囲で交易が行われていたのがなぜ分かるかというと、主な交易品である黒曜石の産地は一部の地域に限られているにもかかわらず、栃木県産の黒曜石が200キロ以上離れた静岡や長野で発見されているからです。
また現在の長崎県付近で見つかった黒曜石が、朝鮮半島から出土したりもしています。
こうした事例からも分かるように、縄文時代の交易はかなり広い範囲で行われていました。
なお縄文時代に交易が行われていたものには、黒曜石以外にも、ひすい(硬玉)やサヌカイト(讃岐石)があります。
これらの交易品の特色もこの記事内で解説していきます。
黒曜石の用途と産地
まずは試験に出題されやすい黒曜石から確認していきましょう。
黒曜石の特色と主な用途
黒曜石はガラスのような石で、うまく加工すると鋭いナイフのようなものを簡単に作ることができます。
このため弓矢の矢じり(石鏃)の材料に最適でした。石鏃とは矢の先端の▲の部分です。
ちなみに石鏃は打製石器の仲間ですよ!
黒曜石の主な産地
黒曜石はどこにでも転がっている石ころではありません。ごく限られた場所でしか取れない。
そのため広い範囲で交易が行われたのですが、黒曜石の代表的な産地は北海道の十勝岳・長野県の和田峠・熊本県の阿蘇山などです。
ひすい(硬玉)の用途と産地
ひすい(硬玉)は緑色の宝石で、黒曜石よりもさらに広い範囲で出土しています。
ひすいの産地は新潟県の姫川という河川なのですが、なんと沖縄県や北海道でも新潟産のひすいが出土しているんです。どうやら海路で運んだらしいことが分かっています。
なお、ひすいの用途はアクセサリーです。
サヌカイト(讃岐石)の産地
サヌカイト(讃岐石)はガラス質の安山岩の一種で、産地は香川県の白峰山や奈良県と大阪府の境にある二上山です。
関西から九州にかけて、石器・石材として広く用いられていました。
縄文時代の交易に関する一問一答!
大学入試の過去問を中心とした一問一答集です。これまで学習したことを定着させるためにも、ぜひ挑戦してみてください!
※それぞれの問題をタップ(クリック)すると、解答解説が表示されます。
【問題1】石器の原材料として、ガラス質の( )といった特徴的な火成岩が長野県和田峠などの産地から関東地方の遺跡へともたらされている。[中央大]
【解答】正解は黒曜石です。黒曜石は弓矢の石鏃など様々な用途で使われました。
長野県和田峠以外にも、北海道の十勝岳や熊本県の阿蘇山などの産出地が有名です。
【問題2】縄文時代に新しく登場した中小動物を捕まえるための道具を何というか?[慶応大・改題]
【解答】正解は弓矢です。
【問題3】縄文時代の狩猟用具として、矢の先端につけた打製石器を何というか?
【問題4】神津島や長野県の( )で産出した黒曜石が広範囲に分布していることは、交易が大きな役割を占めたことを物語っている。[青山学院大]
【解答】正解は和田峠です。
【問題5】香川県の白峰山や奈良県と大阪府の境にある二上山で産出する安山岩を何というか。
【解答】正解はサヌカイト(讃岐石)です。
【問題6】新潟県姫川流域で産出する緑色の宝石を何というか。
【解答】正解はひすい(硬玉)です。
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