この記事では、和同開珎と富本銭の違いを簡単にわかりやすく解説します。
結論から言えば、和同開珎は「日本初の流通を目的とした本格的な貨幣」です。これに対して、富本銭は「日本最古の貨幣」です。
日本における最古の貨幣
日本における最古の貨幣は和同開珎だとずっと考えられていました。和同開珎の鋳造が開始されたのは708年のことです。元明天皇の時代ですね。
ところが天武天皇の時代(631年頃~686年)に和同開珎より古い貨幣が作られていたことが、後から発覚しました。これが富本銭です。
このため「日本最古の貨幣」は富本銭なのですが、「日本初の流通を目的とした本格的な貨幣」は和同開珎ということになります。
これは、富本銭の流通はかなり限定的なものだったからです。
皇朝十二銭とは?
和同開珎をはじめとする12種類の貨幣のことを皇朝十二銭といいます。
和同開珎からずーっと12種類続いて、最後の皇朝十二銭は958年発行の乾元大宝です。
最後の皇朝十二銭は「(×)かんげんたいほう」ではなく「(○)けんげんたいほう」なので読み方注意ですよ!
- ×:誤り
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かんげんたいほう
- 〇:正解
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けんげんたいほう
和同開珎とは?
和同開珎とは708年(元明天皇の時代)に発行された最初の皇朝十二銭です。
武蔵国(現在の東京都、あるいは埼玉県)から「銅」が献上されたのをきっかけに作られました。
唐の開元通宝という貨幣をお手本に作られたもので、日本初の流通を目的とした本格的な貨幣です(但し日本最古の貨幣は富本銭!)。
この和同開珎の発行にちなんで、年号も「和銅」と改められました。
蓄銭叙位令とは?
708年に和同開珎を発行したはいいものの、当時は物々交換が基本なので、みんな「お金」に慣れていません。
そのため和同開珎は、なかなかうまく流通しなかった。
そこで711年に和同開珎の流通を促進するために作られた法律が蓄銭叙位令です。
これは「お金を貯めたら位階をあげますよ」という法律です。
和同開珎を貯めれば貯めるほど位がアップするわけですね。
しかしこの蓄銭叙位令の試みは失敗します。お金を使わせたいのに、みんな貯め込んでしまって使ってくれなかったからです。
(※蓄銭叙位令の史料については、コチラで詳しく解説しています。)
和同開珎と富本銭の違い:まとめ
- 富本銭
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日本最古の貨幣、天武天皇の時代に発行
- 和同開珎
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日本初の流通を目的とした本格的な貨幣、708年の元明天皇の時代に発行
- 皇朝十二銭
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和同開珎にはじまる12種類の貨幣
- 蓄銭叙位令
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和同開珎を貯めると位が貰える制度だが失敗に終わる
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