この記事では、律令制度の税制を超わかりやすく簡単に解説しています。律令制度の税は、租・調・庸・雑徭をおさえるのがポイントです。
律令制度と税制・租・調・庸・雑徭とは?
租・調・庸・雑徭の意味を、最初に示します。
- 租とは、田んぼ(口分田)に課される税のこと!
- 調とは、地方の特産物を納める税のこと!
- 庸とは、歳役の代わりに布を納める税のこと!
- 雑徭とは、最大60日間の地方税のこと!
ここから、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
租とは
班田収授法により戸籍に基づいて6歳以上の男女に貸し与えられる田んぼのことを口分田といいます。
口分田1段(360歩)につき計帳に基づいて2束2把の割合で国に納める税が租です。2束2把は収穫の約3%と言われています。
良民男子や賤民にあたる陵戸・官戸・公奴婢の男性には、2段の口分田が支給されます。
陵戸・官戸・公奴婢って何?
陵戸・官戸・公奴婢とは、奴隷身分のことです。
国が所有する奴隷が陵戸・官戸・公奴婢で、民間の有力者が所有する奴隷が家人と私奴婢です。
これらをまとめて、五色の賤と呼ばれます。
当時は、厳しい身分制度があったんだね……。
一方、良民の女子や陵戸・官戸・公奴婢の女性に支給される田んぼは、その3分の2にあたる1段120歩です。
また、有力者が個人的に所有する奴隷である家人・私奴婢にも、わずかですが口分田が支給されました。
班給される量は、良民男女の3分の1でした。
調とは
租と同様に調も、物品を税として納入することです。
租が田んぼで取れたお米なのに対して、調は絹・鉄など「その地方で取れた特産物」を納入する税です。
約34種類の品目があったと考えられています。
庸とは
庸は、歳役を免除する代わりに支払わなければならない税です。
具体的には布2丈6尺を中央に納めます。
「歳役」ってなに?
歳役
歳役とは、正丁(21歳~60歳の男子)が都で10日間働くことです。
しかし、たった10日間の労働のためにわざわざ地方から京の都まで歩いていくのは現実的では無かったので、大部分の人は歳役を免除してもらうために庸を支払ったわけです。
雑徭とは
雑徭は、租・調・庸のようにモノを納める税ではなく、労働で支払う地方税のことです。国司の命令で最大60日間を限度に土木工事などをします。
「雑徭」はあくまで地方税だよ。
中央に納める10日間の労働である歳役と混同しないように注意しよう!
律令制度の税のまとめ
ここで、もう一度、租・調・庸・雑徭の意味をまとめます。
- 租とは、田んぼ(口分田)に課される税のこと!
- 調とは、地方の特産物を納める税のこと!
- 庸とは、歳役の代わりに布を納める税のこと!
- 雑徭とは、最大60日間の地方税のこと!
律令制度の税に関する一問一答!
試験勉強の暗記用に一問一答を設置したので、挑戦してみよう!
「+解答解説」ボタンを押すと「解説」と「答え」を確認することができます。
1.律令制のもとでは、生産された稲殻の一部が( )という税目で国家に納められた。[学習院大]
2.絹・糸・布・鉄など各地の特産品を中央政府に納める負担を何というか?[札幌学院大]
3.庸は( )とよばれる労役のかわりに布を納めるものであった。[早稲田大]
4.( )は、国司の命令によって水利土木工事や国府の雑用などに年間60日間を限度に従事する労役であり、民衆には重い負担となっていた。[同志社大]
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