研究がつらい、向いていない、やめたい、と感じる方へ【元企業研究者の経験談】

コラム

この記事は、企業で研究職についている方、もしくは大学の研究室で研究を行っている学生の方へ向けた内容になります。

なお、先に断っておくと、この記事を読んでもタイトルのような感情を抱いている方の気持ちを解消することはできないかもしれません。

ですが、私も長らく同じように感じてきましたので、そういう人間もこの同じ空の下には存在して、それでもまぁそれなりに生きているんだ、ということを知って頂くだけでも、少しはお気持ちが晴れるかもしれませんので、記録しておきたいと思います。

この記事の内容は動画でも話していますので、そちらの方が聞きやすい方はこちらをご覧ください。

研究という仕事はつらいことの連続だった

まず最初に私の略歴を記しておくと

  • 旧帝国大学の学部・大学院に計6年間在籍(大学4年~修士2年まで3年間研究に従事)
  • 東証一部上場企業の研究職に10年以上携わる
  • その後、会社を退職しフリーランスに・・・

会社の退職にあたっては様々な事情がありましたが、自分の研究職への適性に関する疑問も一つありました。

毎日会社の研究所に出社する途中で、「研究がとてもつらい、自分は研究に向いていない、毎日とても疲れた、何をやってもうまくいかない」などと考えていました。

朝6時30分に家を出て仕事から帰宅後、産まれたばかりの小さい子供の世話をしながら、突然溢れ出した涙が止まらなくなることがありました。

私自身の病気も重なり、心身ともにもう限界だったのだと思います。

その年に会社を退職する事になり、現在はフリーランスとして活動しています。

企業研究者に期待される成果とは

企業研究者は、大学などの公的機関の研究者とは異なり、はっきりと「利益貢献すること」が求められます。

研究者と言っても会社員の1人であるため当然と言えば当然なのですが、大学で研究してきた学生の方・新卒の方には、なかなか肌感覚として理解しにくいと思います。

会社への利益貢献というは、製造業系の研究者の方であれば、やはり研究対象の製品化になるかと思います。

当然私もその目標達成を目指して研究を行ってきましたが、最終的にはいずれの研究対象もそこまで至りませんでした。

研究を進める過程において、

  • 査読付き英語論文を投稿
  • 国際学会での口頭発表

などを行う機会に恵まれ、研究者としての足跡を残すことはできたとは思いますが、それでも結局製品化できなければ、利益貢献には繋がりません

そういった意味では、私は「結果を出せなかった」と言えます。

このように長らく結果を出せない状態が続くと、私の研究テーマも、周囲の環境も、自分にとって徐々に厳しいものになっていきました。

そして次第に、「あぁ、なんて自分は駄目なんだろう。周囲に迷惑をかけて、足を引っ張ってばかりだ。」と感じるようになりました。

修士卒での研究者とは

ここで、修士卒の企業研究者というキャリアについても、少し説明しておきたいと思います。

欧米などでは、一般的に「研究者」というと、博士号(PhD doctor’s degree)を取得した方のことを指します。

しかし日本の企業では、修士卒で博士号を持たない方でも、研究開発の第一線で働く事は数多くあります。

実際私の所属していた会社は、東証一部に上場するかなり大手のメーカーでしたが、修士卒の方が8割程度、残り2割が博士卒の研究者、といったような構成比でした。

他のメーカーの様子を聞くと、博士の方は1割以下というところもあるようですので、私の所属していた会社の博士の割合は、比較的多い方ではないかと思います。

実際の仕事については、修士・博士といった差異はほとんどなく、同じように仕事をしていました。

修士・博士どちらの方が成果が出ていたかというと、結果としてですが、特に違いは無かったように思います。

むしろ、たまたま担当した研究テーマの「当たり外れ」の方が、その後の成否を大きく分けていたと感じます。

そういった意味では、現在学生の方で、

学生
学生

修士卒で研究が務まるだろうか?

修士と博士で、仕事が全く変わるのではないか?

という心配されている方は、ほとんど杞憂だと思いますので、ご安心ください。

逆に言えば、修士だから研究の成果も博士の方ほどでなくて良い、ということには絶対にならないと思います。

修士の方でも、研究所での勤務を希望すれば研究開発の第一線での活躍を期待されるため、ご自身がどのような働き方をしたいのか、よく考える必要があります。

私は、大学生・大学院生の頃から、研究への適性が無いのではないか?と思う事がありました。

そういった気持ちをうやむやにしたまま、入社面接では研究開発職を希望し、研究所に配属されました。

そういった点も、後々の後悔に繋がってしまったかな、と思っています。

ですがもちろん、研究が楽しいと思える場面も沢山ありましたし、何より論文を執筆する機会に恵まれたことや、国際学会で発表できたことは、人生において大きなプラスになったと確信しています。

研究職以外への異動は無いのか?

私は、会社に入社してから退職まで、一貫して研究所での勤務で、それ以外の部署への異動はありませんでした。

それほど研究がつらかったのなら、研究職以外へ異動すれば良かったのでは?

と思われるかもしれません。

実際、その通りだと思います。他の仕事を経験すれば、また結果は変わっていたかもしれませんが、少なくとも当時の自分には、その選択肢はありませんでした。

自分の専門であるはずの研究開発でも、まともに成果を出せない中、他の仕事をしっかりとできるはずがない、と考えていました。

このため、入社時に配属された職場を一度も変わることなく、会社を去る事になりました。

ですが私は極端な例だと思いますので、現在学生の方が「まず研究職として会社に入社して、その後別の仕事へ異動していく」というのは、あっていいキャリアだと思います。

研究という仕事のつらさを解消するために

私は、大学から民間企業の研究職を15年程度経験し、研究の楽しさ・苦しさ・つらさは数多く経験してきました。

「研究がつらかった」というだけが理由ではありませんが、最終的には会社を退職し、研究から離れることになった私が、研究でつらい思いをしている方々へ伝えられるメッセージがあるとすれば、

どれほどつらくても頑張ろう!!!と思い込み過ぎず、思い切って逃げてみる。

という考えもあって良いのではないか?と思います。

そんな無責任な!!と言われてしまうかもしれません。

ですが、もうそこまで追い込まれるほど頑張っているのに、それ以上頑張れる人はどれだけいるのでしょうか

一旦離れて、距離を置いて、ゆっくりと冷静に考える時間を作ることができれば、新たな道が見つかるかもしれません。

何が何でも研究にしがみつく必要はないのではないかと思うのです。

ある程度の規模の会社であれば他にも様々な仕事がありますし、研究で培った論理的思考力や解析能力が活かせる場面がきっとあるはずです。

世の中の仕事は研究だけしかない、というわけではないのです。

大学からずっと研究をしてきた方は、その他の選択肢の適性を試す機会が無かっただけで、実はもっと自分に合った仕事があるかもしれません。

研究ができなければ終わりだ!と思い込み過ぎず、広く色々な可能性を考えてみるのも、良いのではないでしょうか。

取り留めのない文章だったかもしれませんが、私の経験が少しでも誰かのお役に立てれば幸いです。

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