氏と姓の違いを簡単にわかりやすく解説!氏姓制度の目的とは?【日本史】

氏と姓の違い

この記事では、氏と姓の違いや氏姓制度を簡単にわかりやすく解説します。

目次

「氏と姓の違い」をザックリとイメージしよう!

まずは、うじグループ分けかばねランク付けとイメージしてください。

氏と姓の違いのイメージ図
氏と姓の違いのイメージ

氏と姓の違い

    • 有力者(豪族)のグループ分け(つまり「所属」)
    • 各グループのランク付け(つまり「役職」)

これを氏姓制度しせいせいどといいます。

では、氏姓制度を制定する目的とは何でしょうか?

氏姓制度とは、一言で言えば

中央集権体制を固め、大王おおきみ(天皇)の影響力を高めるための「組織改革」!

となります。

もう少し具体的に言うと、「氏」とは、血縁関係にある豪族のひとまとまりです。

一方、「姓」とは、氏ごとに与えられるランク(位、役職)のことを指します。

姓はランク(どれくらい偉いか?)であって、苗字ではありません

氏姓制度の図解
氏姓制度

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氏と姓の具体的な違い

氏姓制度が導入される以前は、氏族という血縁関係を単位にグループ分けをしていました。

しかし「それでは、あいまいだ!」ということになり、5~6世紀頃に「氏」と「姓」という2つの軸で豪族を分類・組織したものが氏姓制度です。

氏族(血縁関係のまとまり)ごとに、ヤマト朝廷への貢献度や勢力の大小を考慮して、「姓」という豪族ランキングを作りました。

また、氏の中のトップを氏上うじのかみといい、氏の構成員を氏人うじびとといいます。一族が信仰している神様のことは、氏神うじがみと呼びます。

氏上と氏人の関係図
氏上と氏人の関係図

姓によるランク分け

具体的な「姓」には、おみむらじ伴造とものみやつこきみあたえなどがあります。これらをランキング順に並べてみましょう。

  • 【1位】おみ:最高ランク。かなりの有力豪族。蘇我そが葛城かつらぎ平群へぐりなど。
  • 【2位】むらじ:第2位のランク。特定の職務に携わる豪族。大伴おおとも物部もののべ中臣なかとみなど。
  • 【3位】伴造とものみやつこ秦氏はたうじ東漢氏やまとのあやうじといった有力な渡来系氏族。
  • 【4位】きみ:地方の有力豪族。
  • 【5位】あたえ:地方の一般豪族。

臣の中でも特に有力な一族を大臣おおおみ、連の中でも特に有力な一族を大連おおむらじといいます。

大臣、大連は大王(天皇)の補佐役を務めました。

また、朝廷の職務は伴造とものみやつこが担うことが多かったようです。伴造はすぐ下にともを置き、伴には農業や商工業に従事する品部しなべを管理させました。

品部しなべとは韓鍛治部からかぬちべ陶作部すえつくりべなど専門的技術で朝廷に奉仕する集団のことです。

【補足】
国造くにのみやつこ県主あがたぬしといった役職は、いずれもヤマト政権の地方官を指します。

ここまでで、「氏と姓の違い」の解説は一旦終わります。

ここからは、この記事で登場した日本史の重要用語を下の「一問一答」で暗記していきましょう!

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一問一答で氏姓制度を暗記しよう!

一問一答で重要ポイントを暗記しよう!

氏姓制度の頻出用語を暗記できる一問一答をご用意しました。

この「一問一答」機能で氏姓制度の覚え方もバッチリですね。ぜひご活用ください!

「+解答解説」ボタンを押すと「解説」と「答え」を確認することができます。

1.ヤマト政権の政治連合の首長を漢字で表すと( ① )となり、これを( ② )と読む。[中央大・改題]

解答解説1
正解は①大王、②おおきみです。

2.ヤマト政権は朝廷を中心に、地方政権をも統制し、5~6世紀頃に中央集権体制を固めるための組織制度をつくった。これを何制度というか?[早稲田大・改題]

解答解説2
正解は氏姓しせい制度です。

3.各地の豪族は、同族集団である( ① )の首長である( ② )を政治に参加させた。[学習院大]

解答解説3
正解は①うじ、②氏上うじのかみです。

4.ヤマト政権の職務を分担した諸豪族に与えられ、その地位を示す称号は何か?

解答解説4
正解はかばねです。

5.葛城・平群・蘇我などの大和の最も有力な豪族に与えられた姓は何か?[学習院大・改題]

解答解説5
正解はおみです。

6.大伴・物部・中臣などの特定の職能をもって朝廷に仕える有力豪族に与えられた姓は何か?[学習院大・改題]

解答解説6
正解はむらじです。

7.毛野などの地方の有力豪族に与えられた姓は何か?

解答解説7
正解はきみです。

【「君」と「あたえ」の違い】
⇒地方の有力豪族、⇒地方の一般豪族

8.蘇我氏には大臣が与えられ、大伴氏には(  )が与えられた。[上智大・改題]

解答解説8
正解は大連おおむらじです。臣の中でも中枢で大王の補佐にあたる氏には、大臣おおおみが与えられました。また、連の中でも、大王の補佐を担当する氏には大連おおむらじが与えられました。

9.渡来人は、(  )や伴に編成され、品部の集団がそれを支えた。[日本大・改題]

解答解説9
正解は伴造とものみやつこです。渡来人(中国や朝鮮半島から日本に来た人々)の中でも、特に有力な者には、「伴造」という姓が与えられました。

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まとめ:氏と姓のポイント!

  • うじは「グループ分け」、かばねは「各グループのランク付け」!
  • 氏姓しせい制度の目的は中央集権化の推進
  • 氏で一番偉い人が氏上うじのかみ、一般のメンバーが氏人うじびと
  • おみ蘇我そが氏・葛城かつらぎ氏・平群へぐり氏などの超有力豪族。
  • むらじ大伴おおとも氏・物部もののべ氏・中臣なかとみ氏など特定の職務を持った中央の有力豪族。
  • 伴造とものみやつこ秦氏はたうじ東漢氏やまとのあやうじといった有力な渡来人。
  • きみ:地方の”有力”豪族。
  • あたえ:地方の”一般”豪族。
  • 大臣おおおみおみの中でも政権の中枢を支える者。
  • 大連おおむらじむらじの中でも政権の中枢を支える者。

氏と姓の違いだけではなく、氏姓制度の重要用語をしっかりと「理解・暗記」したいところですね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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