この記事では、時制の一致の例外について徹底的に分かりやすく解説します。
時制の一致の例外とは
時制の一致の例外とは①現在もその状態が続いているとき、②不変の真理、③歴史上の事実、④仮定法、⑤異なる時期の比較の5種類のことです。
時制の一致の例外パターンをおさえる前に、まずは「時制の一致とは何か?」を簡単に確認していきます。
(「そんなことより早く例外パターンが知りたい!」という方はコチラ!)
時制の一致とは
時制の一致とは主節の動詞が「過去形」のときだけ、それにあわせて従属節の動詞も「過去形」や「過去完了形」になることです。
主節とは、文の中心となるSVのカタマリのことです。
対して従属節とは、接続詞や関係詞(関係代名詞)が導くSVのカタマリのことです。
従属節が元々は現在形だった場合、現在形が過去形になる
She says that it is her book.(彼女はそれが自分の本だと言っている。)
↓
She said that it was her book.(彼女はそれが自分の本だと言った。)
この例文の場合、says→saidが主節の動詞です。そしてthat節が従属節です。主節の動詞が過去形なので、時制の一致の影響で従属節(that節)の動詞がis→wasと過去形になっています。
このように主節の動詞が過去形のときのみ、従属節もその影響で「過去形」や「過去完了形」になる関係性を時制の一致といいます。
補足主節の動詞が「現在形」のときは、従属節の動詞の時制はなんでもオーケー!従属節の動詞が元々過去形だった場合、過去形が過去完了形になる
She says that it was her book.(彼女はそれが自分の本だったと言っている。)
↓
She said that it had been her book.(彼女はそれが自分の本だったと言った。)
主節の動詞がsays→saidと変化したので、それに合わせて従属節(that節)の動詞もwas→had beenと変化しています。
このように、時制の一致とは主節の動詞が過去形のときだけ、従属節の動詞が過去形や過去完了形になることなのです。
続いて、本題である時制の一致の例外「5パターン」について解説していきます。
時制の一致の例外5パターン
さて、時制の一致の例外には5つの種類があります。
- 現在もその状態が続いているとき
- 不変の真理
- 歴史上の事実
- 仮定法
- 異なる時を比較するとき
これら①~⑤を順番に説明していきたいと思います。
①現在もその状態が続いているとき
これは、さらに具体的に言えば
- 現在も続いている習慣
- 現在も変わらない常識
- 職業
などが時制の一致の例外です。
[1|現在も続いている習慣]の例文
He said that he likes reading.
彼は読書が好きだと言っていた。
「読書が好き」というのは現在も続いている習慣なので、主節の動詞がsaidと過去形でも、従属節(that節)は時制の一致の影響を受けません。そのためlikesと現在形になっています。
[2|現在も変わらない常識]の例文
I didn’t know that there are many temples in Japan.
日本にはたくさんのお寺があることを知らなかった。
「日本にはたくさんのお寺がある」ことは現在も変わらない常識なので時制の一致の例外です。そのため主節の動詞がdidn’t knowと過去形でも従属節(that節)の動詞はareと現在形のままです。
[3|職業]の例文
I knew what her profession is.
私は彼女の職業が何であるかを知っていた。
語句profession(職業)
「職業」や「特性」なども、それが現在も変わっていなければ、時制の一致の例外です。そのため、主節の動詞はknewと過去形ですが、関係詞節(関係代名詞が導くSVのカタマリ)の動詞はisと現在形のままです。
②不変の真理
不変の真理とはいつの時代も変わらないルールのことです。
例えば「太陽は東から昇る」といった自然科学の法則や、「Time is money.」のようなことわざのことを、不変の真理といいます。
不変の真理は、けっして時制の一致の影響を受けません。いついかなる時も現在形で表します。
He said that water boils at a temperature of 100 degrees centigrade.
彼は水は100℃で沸騰すると言った。
語句degree(度), centigrade(摂氏の)
「水が100℃で沸騰する」というのは、いつの時代も変わらないルールですね。
③歴史上の事実
歴史上の事実や過去の明確な事実は、時制の一致に関係なくつねに過去形で表します。
I learned that Columbus discovered America in 1492.
コロンブスがアメリカを発見したのは1492年だと習った。
「習った」という過去の時点よりも何百年も前に「コロンブスがアメリカを発見した」という関係です。
本来ならば「過去のさらなる過去(大過去)」はhad+過去分詞で表しますが、歴史上の事実はその例外なのでdiscoveredと単に過去形で表します。
④仮定法
そもそも仮定法は、あえて時制をズラして現実味の薄いことを表現する文法です。
その仮定法で時制を一致させてしまうと意味がめちゃくちゃになってしまうので、仮定法では時制の一致は起こりません。
He said that he would become a doctor if he had more money.
彼はもっとお金があれば医者になるだろう言った。
⑤異なる時を比較するとき
「過去は~だったが、今は・・・だ」のように異なる時を比較しているときに、時制を一致させてしまうと文意がめちゃくちゃになってしまいます。
従って、異なる時を比較する場合は時制の一致の例外です。
He was older then than I am now.
その頃の彼は、今の私より歳をとっていた。
主節の動詞はwasと過去形ですがthanが導く副詞節(従属節)の動詞はamと現在形のままです。
ここでもしthan I was nowとしてしまうと、確かに文意がめちゃくちゃになってしまいますね。そのため、異なる時期を比べている比較構文中では、時制の一致は起こりません。
コメント
コメント一覧 (2件)
時制の一致についての質問です。
ある英会話サイトの英会話の例文が次のようにありました。
It was raining when I get hom.
これって、雨が降っていた時と家に着いたのが同じ頃と考えると、gotでなくては、と思うのですがどうですか?
ご回答お願いします。
アキ様
コメント頂きありがとうございます。
仰る通り、It was raining when I got home.が正しいのではないかと思うのですが、そのサイトが間違っているということなのでしょうか?
よろしくお願いします。